オリーブの木の原産地はイタリア、スペイン、ギリシャ等の地中海地方で、樹高2~3mから15mまで様々です。日本では、香川県の小豆島や岡山県の牛窓町がオリーブの産地として有名です。
世界で栽培されているオリーブの種類は1,300以上もあると言われています。そのうちの約半分はイタリアで栽培されています。
オリーブの木は寿命が長く、適切に栽培すれば何百年もの間、実を付ける強い生命力があります。
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オリーブオイルの生産量世界一はスペイン
オリーブオイルと言えばイタリアをイメージするかもしれませんけど、オリーブオイルの生産量世界一はスペインです。そして、イタリア、ギリシャ、シリアと続きます。
イタリアのオリーブ栽培の総面積はスペインの約半分ですけど、搾油所はスペインの3倍ほどで世界一です。
つまり、イタリアのオリーブ畑の近くには搾油所が多く、それだけ収穫したオリーブの実を速やかに搾油できます。これによりオイルの酸化防止につながり、高品質なオリーブオイルを作ることができます。
イタリアでは、約600種ものオリーブを栽培していることからも、品種に適したオイル製造の技術力が伺えます。
オリーブオイルの製造工程はシンプル
ごま油や大豆油、菜種油、ひまわり油等、多くの植物油は種子から作られています。しかし、これらの種子を搾っただけでは、オイルとして製品化できません。製造過程で溶剤の使用や精製といった化学的なプロセスが必要です。
ところが、オリーブオイルは、先ほどのオイルとは決定的な違いがあります。
それは、
同じ植物油ながら、オリーブの実を搾り、油分と水分を分離させることでオリーブオイルが出来上がります。オリーブオイルはオリーブの実を搾った100%オイルです。特に、エキストラバージンオリーブオイルの製造は比較的シンプルです。
[搾油プロセス]
実際、オリーブオイルの大まかな搾油の流れは、次のとおりです。
[オリーブの実を収穫] → [洗浄] → [粉砕] → [練り込み] → [オイル分抽出] → [水分除去] → [濾過] → [保存]
搾油の工程で大切なのは、酸化防止と温度管理です。
オリーブオイルの等級
オリーブオイルは製法と品質によって、等級に分かれています。日本に輸入できるオイルは以下の表のうち3つの等級に限られます。
※スマホの場合、←左へスワイプできます。
バージンオリーブオイル
(果実をそのまま搾った食用オイル) |
|
エキストラバージン
オリーブオイル |
完全な食味と香りをもち、
酸度0.8%以下 (日本に輸入可能) |
ファインバージン
オリーブオイル |
完全な食味と香りをもち、
酸度2.0%以下 |
オーディナリーバージン
オリーブオイル |
完全な食味と香りをもち、
酸度3.3%以下 |
ラパンテ・バージン
オリーブオイル |
食用には不向きで要精製。
酸度3.3%以上 |
精製オリーブオイル
(食用にはしない) |
|
精製オリーブオイル | ランパンテを精製したもの。
酸度0.3%以下 |
精製オリーブ
ポマースオイル |
バージンオイルを搾った後の
採油カスから溶剤抽出したもの。 酸度1.5%以下 |
オリーブオイル
(精製オイルにバージンオイルをブレンドした食用オイル) |
|
オリーブオイル
(ピュアオリーブオイル) |
精製オリーブオイルと
バージンオイルの ブレンド。 酸度1.5%以下 (日本に輸入可能) |
オリーブポマースオイル | 精製オリーブポマースオイルと
バージンオイルのブレンド。 酸度1.5%以下 (日本に輸入可能) |
※IOC(International Olive Council)国際オリーブ協会の規定。
※酸度:酸度0.8%であれば、100gのオイルの中に0.8gの脂肪酸が遊離している意味。
オリーブオイルは酸化しにくい
食用油の中で、オリーブオイルは酸化しにくいオイルです。
これは、主成分のオレイン酸が酸化しにくく、抗酸化物質が豊富だからです。オリーブオイルの抗酸化力はリノール酸の12倍、リノレン酸の25倍。
オリーブオイルはオリーブの実を搾油したものですから、実が持っている豊富なビタミンやミネラル等、300以上の微量成分を含みます。
脂肪酸の種類
油脂は脂肪酸の集合体です。脂肪酸には3種類があります。
飽和脂肪酸
飽和脂肪酸は「バター」や「ラード」の動物性脂肪に多く含まれていて、パルミチン酸やステアリン酸が代表的です。この脂肪酸は室温では固体です。
飽和脂肪酸は安定していて酸化しません。しかし、飽和脂肪酸は悪玉LDLコレステロールを増やしてしまうため、摂取過多は動脈硬化等の循環器への影響が懸念されます。
※「飽和」とは酸素と結びつく余地が無いという意味。
不飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸は「オリーブオイル」に多く含まれるオレイン酸です。
オレイン酸は悪玉LDLコレステロール値を下げる作用があり、他の脂肪酸より優れた特徴があります。この働きは、動脈硬化や、脳梗塞、心筋梗塞の予防効果が期待できます。
また、オレイン酸は消化吸収を助けて、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)をサポートするため、毎日のスッキリ生活が期待できます。
※「一価不飽和」とは、分子構造上、酸素と結びつきやすい箇所が1つあるという意味。
多価不飽和脂肪酸
多価不飽和脂肪酸は多くの種子に含まれていて、リノール酸やα-リノレン酸が代表的です。種子油は精製の段階で抗酸化成分を失ってしまうため、酸化の進行を防ぐことができません。
リノール酸は必須脂肪酸ですけど、過剰摂取は脂肪の酸化も進んでしまいます。なお、多価不飽和脂肪酸は悪玉LDLコレステロールを減らす作用があります。
※「多価不飽和」とは、分子構造上、酸素と結びつきやすい箇所がいくつもあるという意味。
オリーブオイルの微量成分
オリーブオイルの約98%に60~80種類の脂肪酸を含み、残りの約2%の中に300種類以上の微量成分を含んでいます。
[微量成分]
(抗酸化成分)
ビタミンA、βカロチン、クロロフィル、ビタミンE、ビタミンD、ポリフェノールです。
揚げ物にも最適
抗酸化成分は180℃以上で加熱すると失われますが、基本的にオリーブオイルは熱に強い性質を持っています。
揚げ物にオリーブオイル(ピュアオリーブオイル)を使用すると、酸化しにくく、油が揚げ物の中までしみ込みにくい性質があるためカラッと揚がります。
また、オリーブオイルで揚げると、あっさりしているため胃もたれしません。
揚げ物の温度は火加減に注意して、160~180℃以下の温度を保つようにします。
オリーブオイルは他の食用油より割高ではあります。そこで、揚げ物に使ったオイルをキッチンペーパーで濾して密閉容器に入れて冷暗所に保管すれば、何回か繰り返し使えます。これは酸化に強いオリーブオイルの特徴です。
オリーブオイルの使い分け
このように、オリーブオイルはメリットが数多く、デメリットが見当たりません。もちろん、適量のオイル摂取が前提ではあります。
確かに、高品質なオリーブオイルは、それなりの価格で販売されています。そこで、料理によってオイルを使い分けるのも1つの方法です。
[焼き料理、炒め料理]
焼き料理でエキストラバージンオリーブオイルを使うと、調理時間によっては、せっかくの香りが飛んでしまうことがあります。
このような料理には、手頃な「ピュアオリーブオイル」を使えばいいでしょう。
[調味料として]
サラダやパン、焼き魚、マリネ、スパゲティには、食卓の調味料としてそのまま「エキストラバージンオリーブオイル」を使うことで風味を堪能できます。
油と健康の関係
油は料理に欠かせない調味料。
そして、油は味噌、醤油、砂糖、塩、酢と同様、どこの家庭でも、日々の料理で使い続けるもの。油は値段だけではなく、家族全員の健康を考えて選びたいですね。
「油」と「健康」は密接な関係があるのは広く知られています。
動物性脂肪は飽和脂肪酸を多く含むため、過剰摂取は悪玉LDLコレステロール値の上昇につながります。これは、動脈硬化のリスク要因とされています。
植物性の油の中で、不飽和脂肪酸の一価不飽和脂肪酸は酸化しにくく、オレイン酸を多く含むため、悪玉LDLコレステロール値を下げる作用があります。
この油の代表はオリーブオイルです。美容と健康を考えたら、油はオリーブオイル一択となるでしょう。
オリーブオイルの品質と価格
オリーブオイルの品質は価格を見れば、ある程度は参考になるでしょう。もちろん、価格だけが絶対的な判断基準ではありませんけど。
国内で流通しているオリーブオイルの価格と内容量をリサーチしたところ、1mlあたり3円以上のオイルならば、信用できるのではないでしょうか。
- 容量100mlなら、300円~
- 容量250mlなら、750円~
- 容量500mlなら、1,500円~
- 容量1,000mlなら、3,000円~
中には、1mlあたり20円を超えるエキストラバージンオリーブオイルもありました。なお、透明のガラスやペットボトル入りの安価なオリーブオイルは?ですね。
容量表示について
オリーブオイルの容量表示がml(ミリリットル)ではなくてg(グラム)表示されていることがあります。この場合、オリーブオイルの比重は約0.91ですから、重量(g)を0.91で除することで容量(ml)が算出できます。
(一例:)
容量が450gならば、
450×1/0.91=494.50…
四捨五入して、容量は495ml。
[スペイン南部アンダルシア州のオリーブオイル(夏秋冬オイル、8.3円/ml)]
春夏秋冬、日本の季節に合わせたオリーブオイルが3ヶ月に1度、届きます。オリーブオイルに季節感を味わいたい方にピッタリです。